「携帯の違約金が上限1000円に改正」との衝撃的なニュースが飛び込んできてビックリしたすまっちです。こんにちは。
ソフトバンク汐留本社で料金プランを企画する仕事をしていた僕からすると、「利用者にとっては嬉しい反面、携帯各社がめっちゃ減収しそう・・・」と真っ先に思いました。
そもそも携帯の違約金は話題になる割に、なぜ設定されているかすら正しく理解されていません。
ということで今回は、携帯の違約金の上限1,000円化について、元ソフトバンク社員の僕が違約金について徹底解説します!
- 今回の改正で変わること
- 違約金が設定されている理由
- 改正による各社の損失額
- 本当に1,000円に値下げされるか?
携帯の違約金が9,500円から1,000円に値下げ
2019年の秋の法改正を目指し、携帯の違約金の上限が1,000円に値下げになります。
改正前 | 税抜9,500円 |
---|---|
改正後 | 税抜1,000円 |
法の改正が2019年秋が目標なので、携帯キャリアで実際に1,000円に値下げになるのは、2020年の冬〜春頃かなと予想。
従来は2年契約において、更新月以外に解約すると違約金として9,500円が徴収されていましたが、これが1,000円になるということは、実質的に違約金が無いに等しくなるので、地味にありがたい。
1,000円なら気にせず解約できて、格安SIMへのMNPが増加することを睨んでの改正なんでしょうね。
携帯キャリア間の競争を促し、それによって値下げ競争を起こしたいのが総務省の考えなわけです。
ちなみに、ドコモ・au・ソフトバンクから格安SIMに乗り換えると、毎月の携帯料金が半額になる可能性もあります。
僕のおすすめは、断然ワイモバイル。普段のお買い物もお得になるので、ぜひ一度以下の記事も読んでみてください!
違約金の値下げまで解約は待った方がいいか?
待てるなら待った方がいいですが、罠のない値下げになるかどうかは分かりません。
また、格安SIMに乗り換えるのであれば、違約金を負担して解約しても、携帯料金の節約効果ですぐに元は取れます。
ワイモバイルなどの格安SIMも値下げ対象?
今のところ、ドコモ・au・ソフトバンクの大手3社が値下げ対象のように思われます。
ワイモバイル、UQモバイル、楽天モバイル、マイネオ、LINEモバイルは対象外な気がしますが、分かり次第に情報を更新します。
なぜ携帯の違約金は設定されているのか?
「そもそも携帯の違約金ってなんであるの?」と疑問に思うと思うので、まずはそれから簡単に解説します。
結論から言うと、2年契約を前提に基本料金を割り引いており、2年待たずして解約されると携帯キャリアが損失を被るので、その補填として違約金が設定されているんです。
「2年継続して使ってくれるなら、基本料を割引するよ!ただし、継続しなければ罰金払ってね」ということ。
みなさん、2年契約に加入すると、基本料が割引されるって知ってました?
では、具体例を出して説明します。
2007年にサービス開始したドコモの「ひとりでも割50」は、2年継続して使うことを前提に基本使用料が半額になるサービスで、以下のように基本料が割引されます。
基本料金 | ひとりでも割50 | |
---|---|---|
プランSS | 3,600円 | 1,800円 |
プランS | 4,600円 | 2,300円 |
当時からすると、2年契約未加入前の基本料金3,600円や4,600円は割と違和感のない基本料金で、それこそ加入者が結構いました。
で、ドコモからすると、2年継続して使う前提で携帯料金を50%割引しているので、当然、その条件を破るとドコモが割引し損になります。
なので、2年以内(更新月以外)に解約した場合は、ペナルティとして違約金9,500円を徴収する仕組みになっているんです。
しかし、現在は2,019年!令和です!
はっきり言って、2年契約に加入したからと言って、基本料金が安くなっている実感はなし!繰り返しますが、全くありません!
事実としては安くなっているんですが、もはや2年契約の無いプランが高すぎて見せかけだけのプランと化しており、2年契約の有無で基本料金が異なるのは過去の名残としか言えません。
違約金の存在は携帯キャリアの収益に貢献するので、そんな悪い慣行を自分達から見直すようなことはしませんよね。
<ドコモのギガホの基本料金>
2年契約あり | 6,980円 |
---|---|
2年契約なし | 8,480円 |
ちなみにシンプルプランの場合の料金の違いは以下。2年契約無しのプランが高すぎ。こんなの誰も加入しません(笑)
<ドコモのシンプルプランの基本料金>
2年契約あり | 980円 |
---|---|
2年契約なし | 2,480円 |
まとめると・・・
「違約金は基本料金を割引する代わりのペナルティ。しかし、基本料金の割引は実態として形骸化されており、違約金は過去の名残で設定されているようなもの」
ってな感じ!
違約金の改正で携帯キャリアはどれくらい損するか?
今回の違約金改正により、携帯キャリアは間違いなく減収(売り上げの減少)します。
僕もソフトバンクで料金プランを企画する仕事をしていたので分かるのですが、違約金収入はまじでバカになりません。
今頃、各携帯会社の経営企画チームや料金企画チームは、必死で収益のインパクトや代替案を考えているはず。
では実際、「違約金でどれくらい儲けているのか?」を考えてみます。今回もドコモを例に。
2018年度のドコモの解約関連の基礎データは以下の通り。
スマホの解約率 (ガラケー含む) | 0.47% |
---|---|
スマホ利用者数 (タブ含む) | 4,053万件 |
解約する人の何割が更新月での解約(=違約金不要)だったか、ソフトバンク時代に数値を見たことがあるのですが、全く思い出せませんw
したがって、今回は解約者の3割が違約金無しでの解約と前提して計算してみます。多分これくらいだったような気が・・・
(出典:ドコモ決算説明会資料)
まず、2018年の解約者数は4,053万件の0.47%なので、1年間で解約した人は19万人。
で、ほぼ100%が2年契約に加入しており、かつ更新月での解約が3割とすると、違約金を払っている人は解約者の7割にあたる約13.3万人。
13.3万人が違約金(税込10,260円)を払うと、年間の収益としては約14億円になります。
つまり、ドコモの場合はざっくり試算すると、スマホの違約金で約14億円程度を儲けている可能性が高いです。これくらいの規模感。
それが1,000円に値下げになると、当然ながら違約金収入は下がりますが、単純計算すると約1.4億円の収入になり、約12億円の減収になります。
ただし、上記は単純計算の結果であり、実際には更新月での解約者が減る(=違約金を払って解約する人が増える)ので、減収影響はもう少し小さくなります。
さらに、違約金の値下げで解約者が増えれば(解約率の増加)、携帯料金の収入も減収するので、むしろ解約者の増加による減収影響の方が大きいはず。
流石にその減収影響を試算するのは難しいのでやめておきます(笑)
本当に違約金が1,000円に値下げされるかの考察
これまで、総務省の指導のもと、携帯料金の仕組みがいくつか変更になってきました。
- 2年契約無しプラン
- 端末分離プラン(4割値下げプラン)
- キャッシュバックの禁止
このうち、すんなり変更されたのは「キャッシュバックの禁止」くらい。
「2年契約無しプラン」については完全に骨抜きにされ、加入者がほぼいないようなプランになり、端末分離プランも見せかけだけ4割値下げと効果はイマイチ。
携帯キャリアも営利企業なので、減収する提案をすんなり受け入れるとは思えません。
ましてや、各社とも「解約」には最もセンシティブなので、また何か抜け道を用意する気がしています・・・
各社の動きをチェックしつつ、動きがあれば追記していきたいと思います!
余談ですが、ソフトバンクで料金関連の企画をしていた対場からすると、違約金の値下げと同時に以下のような値上げがあってもおかしくないと思っています(笑)
- プラン変更手数料の新設
- 機種変更手数料の値上げ
- MNP転出手数料の値上げ
まとめ
以上、携帯の違約金が1,000円に値下げされる話でした。
単純に今の9,500円の違約金が1,000円になるだけなら、利用者としては最高!
ただ、今回も各社とも抜け道を考えてくる可能性があるので、ぬか喜びにならないことを祈るばかり・・・
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