6月8日、WWDC2021の基調講演がストリーミングで配信された同日、待ちに待ったApple Musicでロスレスやハイレゾロスレス、ドルビーアトモスでの楽曲配信が始まりました。
この高音質の音源を視聴するにはロスレスオーディオの設定をオンにする必要と、環境にあわせて設定を変更しておく必要があります。
ロスレスやドルビーアトモスを視聴するための設定
Apple Musicで配信が始まったロスレスやハイレゾロスレスの高音質音源を視聴するには、iOS14.6や各OSの最新版を適用している必要があります。
最新OSにアップデートしたら、設定から
「ミュージック」
→「オーディオ」
→「オーディオの品質」
→「ロスレスオーディオ」
をオンにしましょう。
ロスレスオーディオを有効にした後は、モバイル通信やWi-Fi環境でのストリーミング再生時の音質、曲をダウンロードする際の音質を設定しておきましょう。
なおドルビーアトモスはロスレスのオフ/オンの影響を受けないため、初期値は「自動」に設定されています。
ドルビーアトモスは、空間オーディオに対応したAirPods ProやAirPods Maxなどのデバイスで、ドルビーアトモスで収録された曲を再生するだけで視聴できます。
ロスレスの設定をしておこう
ロスレスやハイレゾロスレスは、使い方に気をつけないと契約しているデータ通信量の制限にかかってしまい、インターネットやSNSなどの利用に影響が出てしまいます。
そのためApple Musicでは、通信の利用状況に合わせて最適な音質を選べるようになっています。
設定(1) モバイル通信ストリーミング
文字通り携帯電話の通信網を利用したデータ通信環境下で、視聴する音質を設定することができます。
設定できる音質とデータ通信量は設定画面にも掲載されていて、約3分の曲をダウンロードした場合、高効率(HE-AAC)は1.5MB、高音質(AAC 256Kbps)が約6MBとなっています。
この2つの設定であればモバイル通信環境下でストリーミング再生しても、大きな影響を受ける事はないでしょう。
ですがロスレス(48KHz)は約36MB、ハイレゾロスレス(192KHz)は約145MBとなり、その容量は高音質と比較してもロスレスの場合は6倍、ハイレゾロスレスの場合は約24倍もデータ通信量を消費します。
以上のことから、モバイル通信ストリーミングではあまりデータ通信量を消費しない、高効率にするか高品質にすることをお勧めします。
なお契約しているデータ通信量が無制限であれば問題ないかもしれませんが、契約しているMNOやMVNOでは、1日や3日の総データ通信量が10GBを超えた時に制限がかかることがあるので、できるだけモバイル通信ストリーミングでのロスレスやハイレゾロスレス設定は避けた方が良いでしょう。
なおロスレスオーディオをオンにすると、モバイル通信ストリーミングの初期値は高音質になります。
設定(2) Wi-Fiストリーミング
自宅の固定回線や公衆無線LANなど、データ通信量で課金されない仕組みであれば、大容量のロスレスやハイレゾロスレスをストリーミング再生しても、モバイル通信ストリーミングのような危険はありません。
データ通信量を気にしなくてもいいため、音質の選択肢の中から高効率はなくなっています。
なおロスレスやハイレゾロスレスはデータ通信量の影響を受けないのですが、AirPodsなどのワイヤレスイヤホンを経由した場合は音質が下がり、ロスレスやハイレゾロスレスの視聴はできません。
ただLightningコネクタとイヤホンジャック変換アダプタを経由して、有線イヤホンを利用した場合はロスレス(48KHz)を視聴することができます。
ただWi-Fi環境でもPocket Wi-Fiのようにデータ通信量に制限がある場合は、ロスレスやハイレゾロスレスはストリーミングしないようにしましょう。
なおロスレスオーディオをオンにすると、Wi-Fiストリーミングの初期値はロスレスになります。
設定(3) ダウンロード
外出先でもロスレスを視聴したい、でもデータ通信量は使いたくない、そんな時はWi-Fi環境下でiPhoneやiPadなどにダウンロードしておく必要があります。
ただロスレスやハイレゾロスレスは、1曲のデータ容量が非常に大きくなるためiPhoneの空き容量がすぐになくなってしまうでしょう。
なお10GBの空き容量がある場合、保存できる曲数は
・ 高音質は3,000曲
・ ロスレスなら1,000曲
・ ハイレゾロスレスなら200曲
になります。
ただ最近のモデルでは内蔵ストレージ容量の大きなモデルが登場しています。
これからiPhoneを購入してハイレゾロスレスなどの音質で音楽を視聴したい人は、256GB以上のモデルを購入することをお勧めします。
ただハイレゾロスレスは、外付けのデジタル・オーディオ・コンバーター(DAC)を用意しなければ再生して楽しむことができません。
DACの価格や性能はピンキリで、外出先にも持ち出してハイレゾロスレスを視聴したい場合は、購入店の店員にどのモデルが良いか相談してから購入するようにしましょう。
なおロスレスオーディオをオンにすると、ダウンロードの初期値はロスレスになります。
設定(4) ドルビーアトモス
AirPods ProやAirPods Maxなど空間オーディオに対応したイヤホンやヘッドフォンを利用している場合、視聴しているアーティストが、目前で曲を演奏しているような没入感を得ることができます。
しかも楽器の余韻もしっかり再現されているので、聴き取れなかったような音が耳に飛び込んでくるため、同じ曲を聴いたとしても、これまでと違った印象を受けることでしょう。
なおドルビーアトモスはロスレスオーディオのオン/オフに影響なく設定できるようになっています。
項目は常にドルビーアトモスで再生する「常にオン」、再生した曲がドルビーアトモスに対応している場合は有効になる「自動」、そしてドルビーアトモスを利用しない「オフ」の3つです。
ダウンロードした曲も常にドルビーアトモスで再生したい場合は、ミュージック設定にあるダウンロードの「ドルビーアトモスでダウンロード」をオンにしましょう。
Apple Musicで音質を確認する方法
ロスレスやハイレゾロスレス、ドルビーアトモス対応の曲やアルバムは、曲のタイムバーの下に「ロスレス」や「ハイレゾロスレス」、「ドルビーアトモス」と表記されます。
これで今、聴いている曲が高音質の音源に対応しているか確認することができます。
また、すでにダウンロードした曲やアルバムは自動で高音質に変換されないため、全てを削除してあらためてダウンロードし直す必要があります。
ダウンロードした曲は、
「ミュージック」
→「ダウンロード済み」
→「編集」
→「すべての曲」
から削除することができます。
その後、もう1度ダウンロードすれば、ダウンロードに設定した音質でiPhone本体に保存することができます。
外出先でも利用できるモバイルDACを購入して、いつでもどこでもハイレゾロスレスを楽しめる環境を持ち歩きましょう。
今後、ワイヤレスイヤホンでもロスレスやハイレゾロスレスなどを、視聴できるデバイスが発売されるかもしれません。
ただ、現状では有線デバイスか外付けDACが必要です。
ちょっと出費になるかもしれませんが、これまで聴いたことがないような音楽の世界に、どっぷりはハマってみてはいかがでしょうか。
