2022年1月28日、Appleは開発者向けとなるiOS15.4ベータ版をリリースしました。
ベータ版は開発者向けにリリースされたバージョンなので、一般ユーザがiPhoneにインストールできるようになるまで、かなりの時間がかかりますが、このベータ版から見つかったあるオプションが非常に高い注目を集めています。
それがマスクを装着したままでもiPhoneのロック解除やApple Pay、アプリの生体認証を解除できる「マスク付きFace ID」オプションです。
Face IDとTouch IDに期待が集まった理由
これまでAppleには、新しいiPhoneが登場するたびにTouch IDとFace IDの両方を搭載したモデルが登場するという噂が幾度となくリークされてきました。
すでにiPhoneのフラグシップモデルから姿を消したTouch IDの再搭載が期待されたのは、世界で流行している新型コロナウイルス感染症の大流行でマスクが手放せなくなったためです。
Face IDはマスクを装着した状態では認証できず、iPhoneのロック解除はもちろんアプリごとのロック解除やApple Payの認証はできません。
そのためiPhone12が発売される頃から、ディスプレイ埋込式や電源ボタン統合式のTouch IDが搭載されると噂が上がっていたのです。
他社製のスマートフォンでは当たり前のように搭載されていたディスプレイ埋込式の指紋センサーだったため、すぐにiPhoneにも搭載されるだろうと思っていましたが、未だに登場していません。
その代わりAppleは、Apple Watchを使ったiPhoneのロック解除機能を提供しました。
この方式は、Apple Watch Series3以降のモデルを購入しなければならない点と、ペアリングしたiPhoneとApple Watchが近くにある場合、自分以外のマスクをした人物がiPhoneのロックを解除できてしまうという問題がありました。
またiPhoneのロック解除しかできず、アプリロックの解除やApple Payの認証には利用できません。
そのため、これまで便利な機能だったはずのFace IDが、使いにくい生体認証機能と言わざるを得なくなってしまったのです。
そんな状況をAppleが黙って見ていたわけではなく、水面下で着々と行動を起こしていたのでした。
それが今回iOS15.4ベータ版で発覚した、ハードウェアを変更しなくても、ユーザが喉から手が出るほどに欲していたマスクを付けたままロック解除や認証ができるオプションです。
マスク付きFace IDはオプションで提供
ハードウェアの変更なしで提供されるマスク付きFace IDは、Apple Watchを利用することなくロック解除ができるオプションです。
しかもiPhoneのロック解除だけではなく、アプリごとのロック解除やApple Payの認証など、マスクを付けていないときと同じ感覚で利用することができます。
このオプションはFace IDを搭載しているすべてのiPhoneで利用できるわけではなく、iPhone12とiPhone13のみが対象となっているようです。
これはFace ID用に配置されたTrue Depthカメラの顔認証時の角度が他のモデルよりも広く、この角度が何かしらの影響でマスクをした状態でもFace IDが機能するようになったのでしょう。
そのためiPhone12とiPhone13以外のモデルではこのオプションは機能せず、引き続きApple Watchを利用した形でのロック解除が提供されます。
また、このオプションを利用できる2つのモデルでもApple Watchを使ったロック解除を利用できるとのことですが、両方を併用する事はできず、どちらか一方の認証方式のみが提供されます。
すでにiOS15.4パブリックベータ版もリリース開始
気になるマスク付きFace IDをすぐにでも利用したいユーザは、パブリックベータ版でのバグフィックス作業に参加することで、誰よりも早くオプションを体験することができます。
ただ、パブリックベータ版はあくまでも正式版ではないため、挙動がおかしかったり、正常動作する可能性が低かったり、場合によっては大切なデータが利用できない、消えてしまうといった不具合に遭遇する可能性があります。
また、インストールされているアプリも正常動作しないかもしれないため、メインで利用されているiPhoneにパブリックベータ版をインストールすることはやめた方が良いでしょう。
そのリスクをとっても、いち早くオプションを利用したいユーザは、自己責任の上でパブリックベータ版への参加を検討してください。
iOS15.4のリリースはいつ頃?
先日、iOS15.3がリリースされたばかりのため、例え脆弱性やバグ修正が必要な場合だとしても、iOS15.4が近日中にリリースされることはないでしょう。
早期リリースに期待が高まるiOS15.4は、海外情報サイトによると春頃になるだろうと伝えられています。
まだまだ正式版のリリースには時間がかかりますが、もうすぐ不便だったFace IDと言わせない進化したiPhoneに出会えると思い、首を長くして待つことにしましょう。
もし、現時点でiPhone12やiPhone13を利用されていない方は、本体価格が著しく下がっている家電量販店で両モデルのどちらかをゲットしてもいいかもしれません。
そして、マスクをしていても普段どおりに利用できるiPhoneを使いこなして、コロナ禍を上手に渡り歩いていきましょう。