2020年に発売されたiPhone12は、世界中で蔓延した新型感染症の影響から、例年通りにリリースすることができませんでした。
このときAppleは、4つのモデルを2回に分けて販売するという手を使い、入手できないという事態を回避することに成功しました。
そして2021年は大きな遅れも発生せず、例年通りのスケジュールでiPhone13をリリースすることができたため、以前のリズムを取り戻すかのように見えたのですが、2022年は今まで以上にリリースが遅れる可能性が出てきてしまったのです。
発売が遅れる理由 (1) 半導体不足
電子機器を製造する上で欠かせない半導体ですが、さまざまな事情から世界的に供給が間に合っていません。
不足している理由は、新型感染症のため高まる医療機器の需要や、車に搭載するマイクロプロセッサーユニット数が増加しているためといわれています。
iPhoneを製造する上で稼働するチップ製造機ですが、新しいチップセットを製造するチップ製造機が半導体不足の影響を受け、製造機を取り扱うメーカーも納期が約束できない状況になっているのです。
感染症が流行しはじめた初期の頃は、チップ製造機の注文を受けてから納品するまで数ヶ月程度だったのですが、現在では2〜3年はかかるかもしれないといわれています。
チップ製造機メーカーも半導体をいろいろな手段で入手しているため、現時点では製造機の納品に大きな遅れは発生していません。
ただ、チップセットを製造しているメーカーであるTSMCやIntelの幹部は、現状をあまり楽観視することはできないと危惧しています。
またAppleのCEOであるティム・クック氏も、世界的に発生している半導体不足はとても深刻で、このまま半導体不足が改善しない場合は、第2四半期で約60億、第4四半期には約80億ドルもの損失が出るだろうと述べています。
今後、何かしらの理由で半導体不足が改善されればよいのですが、このままの状況が続けばAppleとしても、どの製品に注力するのかを選別しなければならない状況になるでしょう。
そうなるとiPhone14だけではなく、近年にリリースされるだろうと噂されているAirPods Pro(2世代)や、新しいiPadもさらにリリース時期が伸びてしまうでしょう。
発売が遅れる理由 (2) ロックダウンの影響
サプライチェーンの情報に詳しい海外情報メディアのIT之家では、もう一つの理由でiPhone14の発売時期が遅れるのではないかと伝えています。
5月初め、Apple大手のサプライチェーンであるFoxconnは、iPhone14の製造開始に合わせて多くの労働者を新規に雇用して、製造体制を整えることを伝えました。
ですがその1日後、新規雇用を取りやめてしまったのです。
この影響はiPhone14のリリース時期に、大きな混乱を与える可能性が出てきてしまいました。
Appleの動向に詳しいアナリストのミン・チー・クオ氏も、6〜8月は新iPhoneを生産するためには重要な期間であることを述べていました。
Foxcconのある地域で猛威を奮っている新型感染症の影響から、すでに1か月以上のロックダウン状態が続いています。
そう簡単にロックダウンが解除されないため、クオ氏のいう重要な時期に何も手が打てない状況から、iPhone12の時のように時間差でリリースするか、時期を完全に遅らせるしかないだろうというのです。
これから先、感染症の影響が弱まり、マスクをしなくても外出できるような状況になり、iPhone14のリリース時期も大きな影響を受けない時代になってくれることを切に願っています。
すでに影響が出始めている
ここまで紹介してきた2つの「遅れる理由」ですが、すでに販売されているiPhone SEやiPhone13のいくつかのモデルで、影響が出ているかもしれません。
都内の家電量販店でいろいろ情報を集めていると、iPhone SEの一部のモデルがリリース以来、入荷されないという状況が続いているというのです。
iPhone12やiPhone13の頃は、入荷がないといっても全てのモデルが在庫で揃っていました。
ですが、2022年にリリースされたiPhone SEでは、256GBモデルや他の容量のモデルが入荷されないというのです。
iPhone14でも同じように、一部のストレージ容量モデルの在庫が、いつまで経っても入荷されないという状況になる可能性があります。
iPhone14を購入しようと思っている方は、必ず予約開始日に早い時間帯で予約を済ませるようにしましょう。
そうしないと、予約から1か月以上待たされてしまうような状況になってしまうかもしれません。